生成AIの業務活用事例|自社で試す仕事を選ぶための比較ポイント

生成AIの業務活用を考えるときは、他社の導入規模よりも、どの情報を渡し、何を作ってもらい、誰が確かめるかに注目すると、自社で試す仕事を選びやすくなります。

公開事例には、文書のレビュー、メールの要約、情報整理や仮説出しなどがあります。ただし、他社が使っている用途をそのまま導入しても、同じ効果が得られるとは限りません。この記事では、企業が公表する実例を確認したうえで、最初の試行対象を絞る比較方法を紹介します。

企業の公開事例を「作業」で読む

パナソニック コネクト:文書作成やレビューを依頼する

パナソニック コネクトの公式レポートでは、社内向けのConnectAIについて、作業手順書の作成、資料のレビュー、アンケートのコメント分析などの用途が紹介されています。自分の文書をもとにQ&Aを作らせる例も掲載されています。パナソニック コネクトの公開レポート

自社への応用を考えるなら、「生成AIを全社に広げる」という大きなテーマから始めず、手順書の読み手が迷う箇所を洗い出す、といった一つの作業へ分けてみてください。これは公開事例から着想した編集上の提案であり、同社の実施手順を再現したものではありません。

住友商事:メールの要約や業界情報の整理に使う

住友商事の公式記事では、森林資源事業ユニットの担当者が、メールの要約や返信の補助、業界・商材の概要把握、仮説出しにCopilotを使っていることが紹介されています。同じ記事には、情報を蓄積するためのルール作りなど、実装に向けて取り組んでいる内容もあります。個人の活用と、組織全体で整備中の仕組みを分けて読む必要があります。住友商事の公開記事

自社で参考にする際も、要約ができることと、必要な情報を部署全体で探せることを一つの課題にまとめない方が、試行の範囲を決めやすくなります。まずは担当者が確認できる資料に限定し、その後に情報の保管や共有方法を検討する進め方が考えられます。

ここで紹介したのは各社の公開情報です。株式会社テクノヴァースの導入実績や、同じ製品で同じ成果が出るという保証ではありません。

自社で試す用途を比較する

次の表は、最初の試行を考えるための編集上の整理例です。各社の成果を測定した表ではありません。いずれも、社内で利用を認めた環境と情報の範囲内で試すことを前提にしています。

試す仕事 渡す情報と頼むこと 人が確かめること 最初は見送る条件
手順書のレビュー 利用を認めた手順書から、前提不足や曖昧な指示の候補を挙げる 実際の作業と合うか、指摘を採用してよいか 手順を判断できる担当者がいない
長い社内資料の要約 指定した資料から、決定事項と未決定事項を分ける 原文にない決定を加えていないか、条件を落としていないか 原文を確認する時間も取れない
問い合わせ回答の下書き 承認済みの案内をもとに、回答案を作る 条件、日付、案内先、相手の質問への適合 確認せず顧客へ自動送信する運用が前提
検討会の論点出し 公開情報や利用可能なメモから、検討すべき問いを挙げる 論点の関連性、根拠が必要な箇所 出力を調査済みの事実として扱ってしまう

生成にかかる時間だけを比べると、確認や修正の負担を見落とします。候補を選ぶ際は、準備・生成・確認・修正までを含めて、仕事全体が進めやすくなるかを見てください。

最初の一つを選ぶための三つの問い

1. どの場面で繰り返し困っているか

「資料作成を効率化したい」だけでは、試す仕事の範囲が広すぎます。「週次の社内報告で、複数のメモから未決定事項を拾うのに時間がかかる」のように、利用場面と作業を一つに絞ります。

候補が複数あるなら、利用頻度だけでなく、手間が発生している理由も並べてください。元の資料が見つからない問題なのか、読んで整理する問題なのかで、先に取り組むことが変わります。

2. 出力が役立つかを担当者が判断できるか

初回は、内容を確かめられる担当者がいて、誤りがあれば利用前に戻せる作業を候補にします。判断者がいない仕事を、生成AIの出力だけで完了させる試行にはしません。

例えば要約なら、「短くなった」だけでなく、判断に必要な条件が残っているかを見ます。論点出しなら、出力された案の数より、次の打ち合わせで使える問いがあったかを確認します。

3. 入力に使ってよい情報が揃っているか

使いたい資料があっても、入力可否が未確認なら、その資料での試行は保留します。公開資料や、利用が認められたサンプルから始められる候補を選ぶ方法もあります。用途ごとの入力情報や確認責任は、既存の生成AIの社内利用ルールで整理しています。

試行内容は一枚のメモにする

以下は記入方法を示す架空の例です。実測値や特定企業の運用を示していません。

項目 記入例
試す仕事 社内報告メモから未決定事項を抽出する
入力範囲 入力許可済みのサンプルメモのみ
期待する出力 未決定事項と、元のメモの該当箇所
確認担当 会議内容を把握している担当者
比較すること 手作業の場合と、準備から確認完了までの時間・修正箇所
見直す条件 原文との照合負担が大きい、必要な条件が繰り返し抜ける

試す用途を決めた後の評価ケース作りは、生成AIの評価ケースで詳しく扱っています。用途の選定と、選んだ用途の品質評価を分けることで、初回の検討を広げすぎずに進められます。

次に決めるのは、製品名より試す仕事

まずは候補の仕事を二つか三つ書き出し、入力できる情報、確認できる担当者、利用前に修正できる範囲を比較してみてください。そのうち一つを小さく試し、確認負担まで含めて続けるかを判断します。

テクノヴァースのAI活用に関する事業案内もご覧いただけます。相談の際は、対象業務と現在困っている作業を整理してお問い合わせください。

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