キッティングは、PCなどの端末を業務で使えるように準備する作業です。この記事では、企業のPC配布を対象に、初期設定、必要なアプリの導入、動作確認、利用者への受け渡しまでを扱います。
完了条件は「設定した」だけでなく、「誰が何を確認し、どの状態で利用者へ渡すか」まで決めましょう。配布前に担当者が完了できる作業と、本人のサインイン後に確認する作業を分けると、未完了の項目を引き継げます。
以下のチェック表や分担は、社内手順を作るための編集上の提案です。製品の機能説明とは区別し、自社の端末・管理方式・セキュリティ方針に合わせて調整してください。
作業前に、配布対象と標準設定を決める
最初に、対象端末、利用者、配布日、利用場所、必要な業務アプリを一覧にします。そのうえで、全員共通の設定と職種別の設定を分けます。例えば、全員に必要なブラウザーと、特定部署だけが使う業務アプリは別の項目にします。
設定手順には版を付け、作業記録にその版を残す運用を提案します。途中で設定を変えた場合、どの端末まで新しい手順を適用したかを確認するためです。
| 先に決める項目 | 記録する内容の例 |
|---|---|
| 対象と配布先 | 資産番号、製造番号、機種、利用者・部署、配布予定日 |
| 標準設定 | OS、更新方針、端末名、管理サービスへの登録方法 |
| 業務ごとの差 | 必須アプリ、必要な接続先、周辺機器 |
| 認証と権限 | アカウント発行担当、権限の承認者、本人が行う初回操作 |
| 検収条件 | 確認項目、記録場所、配布を保留する条件 |
個人用PCと共用PCでは、利用者の割り当てやサインイン方法を同じ前提にしないようにします。端末に設定を書き込む前に、対象者と適用する設定の対応を確定してください。
設定は、共通作業と利用者ごとの作業に分ける
手順書のたたき台として、次の順序で作業を整理できます。実際の実施順は、採用する展開方式や管理サービスの要件に合わせます。
- 本体と付属品を受け取り、製造番号・資産番号を台帳と対応させる。
- 承認された手順でOSや端末名を設定し、必要な更新を適用する。
- 管理サービスへの登録、組織の保護設定、必要なアプリの導入を進める。
- 再起動後の状態と、配布前に実施できる動作確認を記録する。
- 本人の初回サインインや認証設定が必要な作業を受け渡し票へ残す。
一台ずつ手動で設定する方法に加え、管理基盤を使って設定やアプリを配布する方法もあります。例えばWindows Autopilotでは、端末にプレインストールされたWindowsを利用し、設定・ポリシーの適用やアプリのインストールを行えます。利用にはソフトウェア、ネットワーク、構成、ライセンスの要件確認が必要です。MicrosoftのWindows Autopilot概要
自動化する場合も、最初に代表的な機種と利用条件で試し、意図した設定になったかを確認してから対象を広げる手順を提案します。「配布の指示を出した」と「端末に適用された」は、作業記録上も分けて扱います。
検品は、操作と合格条件をセットにする
検品表には「確認済み」の欄だけでなく、何を確かめたら合格にするかを書きます。次の表は、社内向けPCの検品項目の例です。不要な項目は理由とともに対象外にし、追加の業務要件があれば補ってください。
| 確認対象 | 確認する操作・状態の例 | 合格条件の例 |
|---|---|---|
| 本体・付属品 | 製造番号、外観、電源、付属品を確認 | 配布一覧と一致し、必要な物品がそろう |
| OS・更新 | 版と更新状態、再起動の要否を確認 | 社内の配布基準を満たし、必要な再起動が完了 |
| 管理への登録 | 管理画面と対象端末の識別情報を照合 | 正しい端末として登録され、予定した設定が適用済み |
| 保護設定 | 暗号化や保護ソフトの状態を確認 | 社内で必須とした保護が有効になっている |
| 業務アプリ | 起動し、許可されたテストデータで代表操作を実施 | 必須アプリが想定した権限で動く |
| ネットワーク・周辺機器 | 必要な接続先や利用予定の機器を確認 | 想定した利用環境で必要な操作ができる |
| 利用者の初回操作 | 本人によるサインインなどを確認 | 完了、または受領後に確認する担当・期限が明記される |
暗号化の回復情報を組織で管理する方針なら、保管先と参照権限を確認する項目も設けます。回復キーやパスワードの値そのものを検品表へ転記する運用にはしません。
Microsoft Intuneの登録状態ページ(ESP)には、セットアップの進行状況を表示し、必要なポリシーやアプリがインストールされるまで端末の使用をブロックする構成があります。Microsoftの登録状態ページの説明
こうした仕組みを採用する場合も、社内の検品表では業務アプリの代表操作や付属品の照合を別途定義する案が考えられます。管理画面で確認する項目と、実機で確認する項目を分けてください。
不合格と本人確認待ちを分けて記録する
必須アプリが動かない端末を「作業済み」として配布せず、対象端末、失敗した操作、エラー、次の担当者を記録して保留します。再作業後は、修正箇所と影響する確認項目を再検査します。
一方、本人のサインイン後にしか確認できない項目は、事前に決めた運用に従って「本人確認待ち」として引き継ぎます。必須の保護設定など、満たしていなければ配布しない条件は別に定めておきましょう。
受け渡しは、受領と利用開始確認を分ける
受け渡し票には、資産番号、利用者、渡した付属品、受領日、未完了項目、問い合わせ先を残します。配送する場合は、梱包した端末と配送先を照合する担当も決めます。
利用者向けの案内は、初回に行う操作の順にまとめます。接続するネットワーク、サインイン方法、本人が行う認証設定、必須アプリの確認、困ったときの連絡先を示す形です。認証情報は、社内で認められた経路で扱います。
受領した事実と、業務を始められた事実は別の欄で確認する設計を提案します。例えば受領後の初回確認を担当者が支援する運用なら、実施日時と担当をあらかじめ決めておきます。
開発者への配布後に、開発環境の構築や最初の変更まで支援する場合は、エンジニアのオンボーディングも併せて確認してください。
委託する場合は、設定作業と検収の境界を明記する
外部へ依頼する際は「キッティング一式」だけで範囲を決めず、端末の受領、設定、検品、保管、配送、利用者の初回支援を分けて見積もり・作業範囲に記載することを提案します。
社内側で用意するアカウント、必要なライセンス、設定仕様、検収担当を明確にし、委託先には許可する作業とアクセス範囲を渡します。不良端末の交換、設定変更、再作業を誰が判断するかも確認事項です。
依頼前には、台数と納期に加えて、標準設定、例外となる端末、上の検品表をそろえましょう。テクノヴァースへの相談を検討する場合は、インフラ支援の案内を確認し、必要な作業範囲を提示して対応可否を確認してください。