生成AIによる動画制作には、文章で場面を指示する方法と、画像を起点に動きを付ける方法があります。企業の説明動画で試すなら、伝える内容を先に決め、短い一場面を生成して、字幕や実際の画面と編集で組み合わせる進め方をおすすめします。
ここではAdobe Fireflyの公式手順を例に入力方式を整理し、営業・広報担当者が説明動画を試作する手順を紹介します。工程と確認表は試作計画の提案であり、当社の制作実績や効果測定結果ではありません。
文章から作るか、画像から作るかを選ぶ
Fireflyには、テキストプロンプトから動画を生成する機能と、画像を先頭フレームに指定して動画を生成する機能があります。画像入力では末尾のフレームも指定できます。文章から動画を生成する手順、画像から動画を生成する手順
| 入力方式 | 渡すもの | 試す場面の例 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 文章から生成 | 被写体・動き・背景などの指示 | 説明の導入に使うイメージ映像 | 指示した構図と動きになっているか |
| 画像から生成 | 使用を許可された画像と動きの指示 | 既存のイラストを使った導入カット | 元の形や意味が途中で変わっていないか |
画像を入れると、すべての設定を同時に使えるとは限りません。Fireflyの公式手順では、先頭画像を追加すると一部の構図設定などが使えなくなり、末尾画像も追加するとカメラのMotion設定が無効になると説明されています。使いたい入力方式と設定をセットで確認してください。画像入力時の設定上の制限
製品の正確な寸法、操作画面、会社の実際の様子を伝える箇所は、試作段階では撮影素材・画面収録・図表を使う方針にしましょう。生成する部分を「雰囲気や概念を伝える映像」に絞れば、何を事実と照合するかも決められます。
説明動画を試作する5つの手順
1.視聴者と、見た後に理解してほしいことを書く
最初に「誰に、何を伝えるか」を一文にします。たとえば「初めてサービスを知る担当者へ、問い合わせから利用開始までの流れを伝える」という設定です。これは架空の制作例です。
そのうえで、導入、手順の説明、締めの場面に分けます。説明の根拠になる資料と、公開してよい表現を先にそろえ、生成映像を見てからサービス内容を作り足さないようにします。
2.生成する一場面と、編集で加える情報を分ける
最初の試作は、導入の一場面だけに絞ります。社名、サービス名、料金、手順などの文字は、内容を確認した字幕や図表として編集で載せる設計にします。製品画面は許可された環境で収録した素材を用意します。
人物、顧客名、社内資料を使わずに評価できる場面を選び、試作のために必要な素材を一覧にしてください。
3.一場面の動きを具体的に指示する
文章入力では、被写体、動作、背景、カメラ、雰囲気を分けて書くと、結果と指示を比べる基準になります。次は構成を考えるための例で、生成結果を確認済みのプロンプトではありません。
明るい会議室の机の上に、無地のカードが3枚並んでいる。カードが左から右へ順に少し持ち上がる。カメラは固定。落ち着いた説明動画の導入に使う。文字やロゴは入れない。
意図と違う場合は、動作を一つに絞る、被写体を減らすなど、変更する条件を一つずつ決めます。「文字を入れない」と指定した場合も、出力に不要な文字がないか確認します。
4.出力を確認し、採用したカットを編集する
候補を通しで再生し、動きが切り替わる箇所や違和感のある箇所は停止して確認します。採用した映像に、確認済みの字幕・図表・ナレーションを加えます。
ナレーションは固有名詞や数字の読みを字幕と照合します。音声と字幕のどちらか一方だけを直して終えず、最終の書き出しファイルで両方を確認してください。
5.修正を含む作業量を記録する
プロンプト、入力素材、サービス・モデル名、設定、生成日、採否と修正理由を残します。あわせて、生成に使った費用、確認・修正・編集の時間を記録します。
継続の判断には、生成したカット数だけでなく、最終的に使えたカットと修正作業を使います。初回に生成を繰り返せる回数や費用の上限を決め、上限に達したら静止画や既存素材への切り替えを検討しましょう。
試作動画を確認するチェック表
以下は社内で合格条件を作るための例です。公開前の確認者を決め、判断に迷った項目は未確認のまま残します。
| 確認項目 | 見るところ | 問題があった場合の対応例 |
|---|---|---|
| 映像の整合 | 物の形・数・位置が途中で不自然に変わらないか | 動きを簡単にするか、該当カットを差し替える |
| 説明の正確さ | 製品機能や操作手順を誤って示していないか | 実画面や確認済みの図表へ戻す |
| 文字と音声 | 社名・数字・単位・読み方が一致するか | 字幕と音声を修正し、再度書き出す |
| 視聴条件 | 想定する画面で文字が読め、音量が適切か | 字幕の大きさ・表示時間・音量を調整する |
| 表現の誤認 | イメージ映像が実際の施設・導入事例に見えないか | 表現を変えるか、必要に応じてイメージである旨を示す |
| 利用条件 | 入力素材・音源・生成物の利用条件を確認したか | 許諾の確認が終わるまで公開を保留する |
業務利用では、サービスと素材の条件を確認する
商用利用の扱いは、利用するサービスの公式案内と契約条件を確認します。たとえばFireflyのFAQは、ベータ表示のない機能の生成物を商用プロジェクトで利用できると説明しています。ベータ機能についても、製品内に別の定めがない場合に利用できるとしています。Adobe Firefly FAQ
この説明だけで個別の素材の利用可否を決めず、次の項目を制作前の確認欄にしてください。
- 入力する写真・イラスト・人物の映像について、今回の利用範囲を確認したか
- 音楽・効果音・音声について、公開先に合う利用条件を確認したか
- 入力情報の保存・学習利用・共有範囲について、契約と設定を確認したか
- 生成物の利用制限や表示条件について、選んだ機能・モデルの条件を確認したか
社内の担当者が入力可否や公開責任を判断できない場合は、制作前に管理担当と整理します。ルールの作り方は生成AIの社内利用ルールで補足しています。
試作の結果から、使う場面を決める
試作後は、「どの場面なら採用できたか」「どこに修正が必要だったか」「次回も同じ確認を行えるか」を記録しましょう。導入カットだけを採用する、説明部分は既存の制作方法を続ける、といった範囲の決め方もあります。
対象を広げる際は、費用や生成速度に加え、確認者が無理なく確認できるかを判断材料にします。部門での試行から利用範囲を広げる手順は、生成AI導入のステップを参照してください。