AI音声認識は、音声を解析して話された内容を文字へ変換する技術です。文字起こしを作る処理と、発言を短くまとめる要約は別です。業務で使う際は、まず何が話されたかを確認できる記録を作り、その後に必要な編集を行います。
認識した文字、発言時刻、話者の区分、後から付けた要約を分けて扱うと、元の音声へ戻って確認しやすくなります。本記事は、議事録の構成よりも音声を正しく記録するための検討点を扱います。
文字起こしと話者分離で得られる情報は違う
文字起こしは発話内容を文字にし、話者分離は誰の発話区間かを分ける処理です。MicrosoftのSpeechサービスでは、会話中の異なる話者を区別し、Guest-1などの識別子を結果に付ける仕組みを説明しています。識別子が付くことは、その人の実名を特定できたことと同じではありません。出典:Microsoft リアルタイム話者分離
要約は、文字起こしから要点を選び整理する別の段階です。聞き間違いが残った文字起こしを要約すると、誤った内容が短い文章の中へ残る可能性があるため、重要箇所の確認と分けて考えます。
使い方から、リアルタイムか録音後かを決める
その場で字幕を出したいのか、録音後に記録を作りたいのかで、処理の時間や修正方法が変わります。Microsoftの資料もリアルタイム、音声ファイルの高速処理、バッチ処理などを区別し、言語や話者分離の設定が方式によって異なると説明しています。出典:Microsoft 言語識別と話者分離の構成
リアルタイムで見せる場合は、途中の認識結果と確定した結果をどう表示するかを確認します。録音後なら、確認者が音声を聞き直す操作や、修正した履歴を残す方法を考えます。サービス名だけで判断せず、自分が使う処理方式の対応条件を確かめてください。
実際の録音条件を含めて試す
静かな場所で一人が話した音声だけでは、会議室や窓口の利用条件を確認できません。マイクとの距離、周囲の音、発言の重なり、話者数、使う言語などを整理し、想定する条件の音声で試します。
Microsoftの構成資料も、本番を代表する短い発話、背景雑音、想定話者数を含むテスト音声を挙げています。本文の評価方法は、この条件確認を業務へ落とした提案です。出典:Microsoft
専門用語や固有名詞が多い場合は、誤って認識された例を残します。辞書や語句の補助機能を使うなら、利用する方式で何が設定できるか確認し、設定後も同じ音声条件で結果を見ます。機能があるだけで、すべての語を正しく認識できるとは考えません。
確認する単位を、業務で重要な情報に合わせる
仮に社内の作業依頼を文字起こしするなら、担当者、期限、数量、否定表現などを重点的に照合する方法があります。言いよどみの表記が違うことと、「しない」が抜けることでは、仕事への影響が異なるためです。
結果を評価するときは、全体の修正量に加え、重要情報の誤り、話者の取り違え、元音声へ戻るための時刻情報を確認します。異なる製品の数値を比べる場合も、音声、正解の作り方、表記の扱いが同じでなければ単純比較できません。
説明用の評価メモなら、「音声区間」「元の発言」「認識結果」「修正内容」「業務への影響」を一組にできます。人が聞いても不明な箇所は、推測で確定せず、聞き取り不明として扱います。
録音から共有までの範囲を決める
録音には、業務上の情報や個人に関わる情報が含まれることがあります。収録目的、参加者への説明、保存先、閲覧権限、保存期間、削除方法を、社内ルールや利用条件に沿って確認してください。ここで特定の録音方法の適法性を一律に判断するものではありません。
試行では文字起こしにかかる時間だけでなく、聞き直し、修正、共有準備まで含めて測ると、残る負担を把握できます。AI出力、確認済み記録、要約を区別して管理し、読んだ人がどの状態の文書か判断できるようにしましょう。
音声認識を業務のどこへ組み込むか整理したい場合は、テクノヴァースのAI活用の案内をご確認ください。利用できる機能と確認体制を合わせて考えることが出発点です。