AI OCRを比較するときは、読み取り機能だけでなく、誰が帳票を準備し、結果を確認し、業務システムへ渡すのかを合わせて考えます。画面で作業を進めたい場合と、自社システムへAPIを組み込みたい場合では、比較する範囲が異なります。
本記事では、DX Suite、Azure Document Intelligence、Google Cloud Document AIの公式資料を、2026年10月23日に確認した範囲で比較します。実機で同じ帳票を読み取った精度比較ではなく、機能構成と検討時の確認点の比較です。
3製品の機能構成を比較する
各製品の公式仕様から、読み取りと業務への組み込み方を整理します。同じ列にある機能が、すべての帳票で同じ結果になるという意味ではありません。
| 製品 | 公式資料で確認した機能 | 検討の入口 |
|---|---|---|
| DX Suite クラウドサービス | 帳票をAI OCRで読み取り、CSVなどへ出力。ワークフローや読取範囲、出力列などの設定仕様を公開 | 帳票の設定と出力形式が、担当者の作業や登録先に合うか |
| Azure Document Intelligence | Readで文字、Layoutで表や構造を抽出。カスタム抽出モデルも提供。REST APIやSDKを利用可能 | 必要な抽出モデルと、アプリへの連携処理をどう組み合わせるか |
| Google Cloud Document AI | Enterprise Document OCRで文字を抽出。Form Parserでキー・値、表、選択マーク等を抽出。用途ごとのprocessorを提供 | 文字だけか、項目・表まで必要かに応じてprocessorを選ぶ |
出典:DX Suite クラウド仕様書、Azure Read、Azure Layout、Google processor一覧、Google Form Parser
DX Suiteは、帳票から出力までの設定を確認する
クラウドサービス仕様書では、入力画像の条件、読取範囲、CSVの出力列や文字コードなどが確認できます。すでにCSVを取り込む業務があるなら、出力したデータをどこで確認し、どの列へ対応付けるかを試すと比較しやすくなります。
ここで比較しているのはクラウドサービスです。別の提供形態の機能を混ぜて、「どの契約でも同じ」と判断しないでください。画面の使い方や確認作業、連携方式、実際の利用条件は、対象の提供形態で確認します。
Azureは、文字抽出と項目抽出を分けて考える
Readで文字が取れることと、業務固有の項目がそのまま取れることは別です。カスタム抽出では、抽出したい値をラベル付けしたデータを使って学習する方式が説明されています。必要な出力と帳票の種類に応じて、既存モデルで足りるか、カスタム抽出を検討するかを判断します。出典:Azure カスタムモデル
APIへ文書を送る部分だけでなく、結果を確認・修正する画面や、登録先へ渡す処理を誰が用意するかも検討範囲です。
Googleは、processorごとの役割と制約を読む
Form Parserはキー・値や表などを抽出しますが、公式資料では事前学習済みで追加学習できないとされています。独自の項目を指定して抽出したい場合は、Custom Extractorとの違いを確認します。出典:Google 抽出機能の概要
Form Parserの資料には、空欄の値を持つキー・値の組や、チェックボックスなどの制約も説明されています。必要な帳票の例外を、採用前の試行へ含めてください。出典:Google Form Parser
比較用の帳票と、合格条件をそろえる
機能表から候補を絞った後は、同じ帳票で試します。実際の印字・手書き、レイアウト違い、取り込み方法を含め、業務上重要な項目を決めます。各社の公表精度は、対象と測り方が異なる可能性があるため、数字だけを順位付けに使いません。
確認するのは、項目の正しさ、読み取れない場合の扱い、人の修正時間、出力を登録先へ渡せるかです。用意された見本だけでなく、自社で許可された試験用帳票を使い、送信・保存の条件も確認します。
総額は、読み取り以外の作業を含めて比べる
利用料だけでなく、初期設定、連携開発、結果確認、運用保守を同じ範囲で見積もります。ページ、項目、処理機能など、課金単位は実際の契約・料金表で確認してください。本記事では料金プランを一律に換算した最安順位は示しません。
画面操作を中心に帳票業務を組み立てるのか、APIを既存システムへ組み込むのかを先に整理すると、製品資料のどこを比較すべきか明確になります。テクノヴァースのAI活用の案内も参考に、対象業務と必要な連携範囲から検討してください。