AI画像認識を業務に使いたいときは、「画像を見て何を判断したいのか」を先に決めると、必要な処理を整理できます。画像がどの種類か知りたいのか、対象物の位置を見つけたいのか、細かな領域を分けたいのかでは、求める出力が異なります。
分類・物体検出・セグメンテーションを、業務で必要な答えから使い分けることが最初の一歩です。高度そうな方式を選ぶより、出力をどう使うかから考えましょう。
画像分類・物体検出・セグメンテーションの違い
IBMの解説では、画像分類、物体の位置と種類を推定する物体検出、画素単位で領域を分けるセグメンテーションが区別されています。位置を四角形で示すか、画素の領域として示すかも、出力の違いです。出典:IBM 物体検出
| 処理 | 欲しい答え | 業務を考えるための仮例 |
|---|---|---|
| 画像分類 | 画像がどの種類に当たるか | 一枚の製品画像を外観の区分に振り分ける |
| 物体検出 | 何が、どこにあるか | 棚の画像で対象商品の位置を示す |
| セグメンテーション | どの画素が対象領域か | 画像の中で汚れに当たる範囲を分ける |
この表は、特定製品の導入実績や性能を示すものではありません。また、セグメンテーションを選べば必ず業務上の正解率が高くなるという意味でもありません。位置が分かれば十分な仕事に、細かな領域分けまで必要かを考えるための比較です。
同じ「外観検査」でも、求める出力は違う
架空の部品検査を例にします。「再確認が必要な画像を人へ回したい」なら、画像を振り分けるだけで目的を満たす可能性があります。一方、「どの位置を再確認すべきか示したい」なら、画像の区分だけでは判断材料が不足します。
さらに「傷の面積を基準に判断したい」場合は、対象領域を取り出すことに加えて、その面積をどう測るか、画像上の大きさと実物の大きさをどう対応付けるかも論点になります。画像の出力をそのまま業務判断にする前に、後段で必要な処理を確認してください。
要件を「AIで不良品を見つける」で止めず、「対象の画像を、人がこの順番で確認できるようにする」まで具体化すると、試験で確かめる内容を決めやすくなります。
学習・評価に使う画像は、運用の違いを含める
IBMは物体検出モデルについて、学習データから得た視覚的なパターンを使う処理として説明しています。人と同じ意味で対象物を理解していると考えるのではなく、入力画像と学習条件を意識して評価します。出典:IBM
実際の評価では、照明、撮影位置、対象の向き、背景、重なりといった違いを整理します。すべての条件を一度に網羅できない場合は、試した範囲と試していない範囲を分けて記録します。確認していない撮影条件まで、同じ性能が出ると見なさないことが重要です。
正解の付け方も確認してください。担当者によって「傷」と判定する範囲が異なるなら、AIの前に判定基準のすり合わせが必要です。例外を含む画像を一緒に見て、人がどの理由で判断したか残す方法が考えられます。
見逃しと過検出を、業務への影響で評価する
正しく判断した割合だけを見ると、どんな誤りが起きたかが見えにくくなります。たとえば対象物を見逃した場合と、対象でない箇所を検出した場合では、その後に必要な作業が異なります。
この違いを確認するため、試行結果を「対象を見つけた」「対象を見逃した」「対象でないものを拾った」に分け、元画像と一緒に見直すことを提案します。見逃しをどこまで許容できるか、人の再確認が何件まで対応できるかは、業務側の判断です。数値の目標を決める場合も、現場の負担や誤りの影響から逆算してください。
AIの判定だけで確定させず、判断が難しい結果を人へ回す構成も比較できます。ただし、人へ回す条件と担当者が曖昧なままでは、確認待ちが残ります。出力の形式だけでなく、誰がどこで確認するかまで設計しましょう。
小さく試す範囲を、業務の一つの判断に絞る
最初の試行では、対象物、撮影条件、判定内容、結果の使い方を絞ると、できたことと残った課題を説明しやすくなります。たとえば、複数拠点の全検査へ一度に広げる前に、特定の工程で人の確認を支える用途を検証する方法です。これは導入成功を保証する手順ではなく、評価範囲を明確にする考え方です。
画像認識の相談時には、サンプル画像だけでなく、現在の判断基準、誤りの影響、撮影環境、出力の利用先を用意しましょう。テクノヴァースのAI活用に関する案内も参照し、まず何を判定したいのかを整理してみてください。