クラウドストレージのセキュリティを確かめるときは、保存先の安全性だけでなく、誰が、どの経路で、何をできる状態かを確認します。外部共有では、メールの宛先を限定したつもりでも、リンクの種類によってアクセスできる人が変わります。
ここでは業務ファイルを取引先と共有する担当者向けに、リンクとアクセス権の見方を整理します。SharePointとOneDriveの公式仕様を例にしますが、ほかの製品では機能名や管理設定を個別に確認してください。
共有リンクと利用者の権限を分けて考える
ファイルのURLを送ることと、そのファイルにアクセスする権限を与えることは、分けて点検したい作業です。共有設定を見る際は、次の三つをメモすると整理できます。
- 共有する対象:ファイル一つか、フォルダー全体か。
- 利用できる相手:指定した人か、組織のメンバーか、リンクを持つ人か。
- 許可する操作:閲覧だけか、編集も必要か。
これは点検のための整理案です。フォルダーやグループから与えられたアクセスがないかも含め、製品の権限画面で実際の状態を確認します。
Microsoft 365のリンクは届いた人全員が同じ扱いではない
Microsoftは、SharePointとOneDriveの共有リンクを主に三種類に分けています。「Anyone」はリンク所持者が認証なしでアクセスでき、「Specific people」は指定した人としての認証が必要です。「People in your organization」は組織内のメンバー向けで、ディレクトリ内のゲストは対象外と説明されています。Microsoftの共有リンクの説明
つまり、社外の特定担当者へ送りたい場合、「社内向けリンクだから安全」という理由だけでは選べません。相手が利用できるかと、対象外の人を制限できるかの両方を考えます。匿名リンクを使うなら、転送された場合の扱いも含めて情報の機密性と照合してください。
リンクの名称は、共有を許す理由の代わりにはなりません。組織の規程で社外提供できない情報なら、相手を指定する機能があっても共有してよいとは限りません。
仮例:見積資料を取引先の二人へ渡す
説明用に、顧客名と金額を含む見積資料を、取引先の担当者二人へ確認してもらう場面を考えます。実際の取引や当社の情報管理制度を示す例ではありません。
この場面では、まず社外提供が許可された版かを確認し、相手の識別情報をそろえます。相手が編集する必要がなければ閲覧を基本に検討し、共有するフォルダーに別顧客の資料が入っていないかも見ます。
| 確認するもの | この場面で残したい記録 |
|---|---|
| 対象 | 資料名、版、共有するファイルの場所 |
| 相手 | 二人の所属と招待先。確認済みの連絡情報 |
| 操作 | 閲覧か編集か、その必要性 |
| 終了 | 見積確認が終わったときの取消担当と予定 |
| 動作 | 指定相手が開けること、対象外の利用者に許していないこと |
機密情報を使って無許可の相手へ試しに送る必要はありません。動作確認用の資料と許可されたテスト利用者を使い、組織の手順に沿って確認できます。
共有終了時はリンク以外の経路も確かめる
Microsoftは、共有リンクが期限切れになっても、別の権限でアクセスできる人は引き続き利用できると説明しています。リンクの失効と既存権限
そのため、「送ったリンクを無効にした」という記録だけで確認を終えず、同じ相手に直接付与したアクセスや、所属グループ経由の権限が残っていないかを確かめることを勧めます。一方、権限を広く削除してほかの業務を止めないよう、今回の共有対象と取消範囲を先に決めます。
また、共有終了後の扱いは、クラウド上のアクセス停止だけでは完結しないことがあります。ダウンロードや複製が許されていた資料については、相手側での保管・削除の取り決めを確認してください。これは遠隔で相手の保存物を消せるという意味ではありません。
対象ファイルを決めて、小さく点検する
最初から全ストレージを調べるより、機密性の高い外部共有資料を一つ選び、相手、操作、終了条件、確認結果をそろえると、点検の不足を見つけやすくなります。利用できる期限設定や監査機能は、製品・契約・管理方針を確認して使いましょう。
暗号化されているという説明だけで、意図しない共有の問題が解消したとは判断しないでください。まず共有対象とアクセス可能な人を照合することが、この記事で提案する出発点です。