AIによる文章要約は、長い資料から必要な情報を取り出し、読む目的に合う長さへ整理する用途に使えます。ただし、短い文章になったことと、元の意味が保たれたことは別です。読む目的と、削ってはいけない条件を先に指定すると、出力を確認しやすくなります。
本記事では、報告書や説明文を対象に、要約の依頼から原文との照合までを具体例で紹介します。実在する顧客資料や当社の実績を使った例ではありません。
抜き出す要約と、書き直す要約を使い分ける
Microsoftの技術資料は、原文から重要な文を選ぶ抽出型と、主要な内容を新しい文へまとめる生成型を区別しています。Microsoftの要約機能の説明
抽出型は、どの文を選んだかを原文へ戻って確認できます。ただし、文をそのまま選んでも、前後の条件を落とせば意味が変わる可能性があります。生成型は複数の箇所を読みやすくまとめられますが、原文にない結び付けや言い換えも確認対象になります。
契約条件や仕様の確認では、要約だけで判断せず該当箇所も併記する方法が適しています。概要を把握したい段階と、実施可否を決める段階では、必要な情報量が違うためです。
誰が何を決めるために読むかを指定する
「短くして」だけでは、結論、背景、数値、課題のどれを優先するかが曖昧です。次のように、用途と残す情報を分けて依頼できます。
目的:運用担当者が、試行の継続条件を確認するための要約。
対象:以下に区切って示す説明文だけ。
出力:結論、確認できたこと、未確認事項を分ける。
残す情報:対象期間、対象範囲、数値の条件、例外、未決事項。
原文にない理由や結果を補わない。各項目に原文の該当文を添える。
これは依頼文の例であり、どのAIでも正確に処理することを保証するものではありません。入力してよい資料かは、利用するサービスの条件と社内ルールを先に確認します。
仮の原文と要約を比べる
次は説明用に作った原文です。
営業部では、10月の平日5日間、担当者3人が受注入力の補助機能を試した。入力作業の時間は合計120分から90分になったが、別途15分の確認が必要だった。返品処理は対象に含めていない。全拠点への展開は、返品処理の検証と確認担当の確保後に判断する。
「入力時間を25%削減し、全拠点へ展開する」と要約すると、確認作業が落ち、未決定の展開が確定に変わります。120分から90分への変化だけを計算した25%は、確認まで含む改善率ではありません。
用途に合う要約例は次のようになります。
平日5日間・3人の試行では入力時間が120分から90分へ減った。追加確認15分を含む合計は105分。返品処理は未検証で、全拠点展開は検証と確認体制を整えた後に判断する。
この例では、合計時間を計算で補っています。原文の記述と計算結果を区別したい場合は、「原文:入力90分、確認15分」「計算:合計105分」と分けて示します。
照合するのは、数字だけではない
確認では、数値と単位に加えて、対象、条件、否定、確定度を見ます。「試した」と「導入した」、「可能性がある」と「効果があった」が入れ替わっていないかも重要です。
| 観点 | 確認例 |
|---|---|
| 対象 | 一部門の結果が全社の結果になっていないか |
| 条件 | 対象外の処理や測定期間が残っているか |
| 確定度 | 検討中・予定・合意済みを区別しているか |
| 関係 | 単に同時に起きたことを原因と書いていないか |
| 計算 | 原文の数字と、要約者が計算した値を分けたか |
長い文書は、章ごとの要約から全体要約へ進める方法もあります。その場合は途中で落とした例外が最終版へ戻らないことを想定し、最後に原文の条件一覧と照合します。
要約と原文を一緒に管理する
共有するときは、原文の名称・版・対象範囲と、確認した人や未確認事項を残すと、後から修正できます。原文が更新されたら、要約も同じ版を参照しているか確かめてください。
まずは短い資料を一つ選び、「読む目的」「残す条件」「原文の参照」をそろえて試してみましょう。文書業務へAIを組み込む範囲を考える際は、テクノヴァースのAI活用の案内もご確認ください。